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有期雇用契約の労働者が出産するリスク

有期雇用契約の労働者が出産するリスク

雇用保険の被保険者が出産したとき、育児休業給付金が支給されます。

通常は雇い入れから一年以内に出産すると、受給資格が得られず、育児休業給付金が支給されません。しかし雇い入れから1年以内でも、条件を満たせば、前職の雇用期間を通算することができます。

ところが、有期労働契約の期間雇用者に関しては、前職の雇用期間が通算されません。

同一労働同一賃金など、非正規雇用労働者への社会的差別が是正されつつありますが、社会保障制度の一つである雇用保険でもまだまだ改善の余地があるようです。

育児休業給付金の対象外になった事例

2015年の冬に相談のあったできごとです。

その事業はもともと市町村が運営していましたが、2015年4月に民間の会社が管理することになりました。いわゆる指定管理の委託事業です。

その事業の労働者は、市町村の臨時職員として1年契約の更新を繰り返していた有期雇用労働者が半数以上でした。これまで働いていた有期雇用労働者は契約更新のタイミングで民間事業者に雇用されることになり、これまでどおり新たに1年間の有期雇用契約を締結しました。賃金や労働時間などの労働条件は民営化前と変わりません。

雇用保険はこれまでの被保険者の資格を喪失させ、新しい事業主で新たな有期雇用労働者として被保険者の資格取得しました。その後、新たな事業主に雇用された有期雇用労働者が2015年10月に出産しました。

社会保険には加入しているので、出産一時金や出産手当金は支給されます。ところが育児休業給付金についてハローワークに問い合わせたところ、育児休業給付金は支給されないことが判明しました。

事業主が変わったことについて本人の非はないのですが、有期雇用労働者という身分であるために育児休業給付金が受給できないという不利益を受けてしまうのです。

私はこの扱いがとても不合理だと思ったのでいろいろと調べてみました。

みなし被保険者期間

育児休業給付金の受給資格要件の一つとして、みなし被保険者期間が12か月以上である必要があります。

休業開始前の2年間に賃金支払基礎日数11日以上ある月(過去に基本手当の受給資格決定を受けたことがある方については、その後のものに限ります。)が12か月以上あれば、受給資格の確認を受けることができます。

みなし被保険者期間の通算

見なし被保険者期間は原則として複数の被保険者期間を通算することができます。

たとえば、1つの会社を退職して被保険者の資格を喪失しても、次に就職するまでに基本手当の受給資格決定を受けなければ、その期間を通算できます。

転職をして、期間の定めのない雇用をされたときは育児休業給付の賃金証明を提出するときに前職の離職票を窓口に提出すればいいのです。

みなし被保険者期間通算の例外

育児休業給付の業務取扱要領によれば、「一般被保険者が期間雇用者(期間を定めて雇用される者)である場合は、育児休業給付の受給資格が確認され、休業開始時において同一事業主の下で1年以上雇用が継続しており、かつ、1歳に達する日を超えて引き続き雇用される見込みがあれば(2歳までの間に、その労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことが明らかである者を除く。)、育児休業給付の対象となる。」とあります。

つまり有期雇用労働者は「産前休業前1年以上は同一事業主の下雇用されていなければならない」ということです。

※派遣労働者が派遣先へ就職したときや出向労働者が出向している期間は、期間雇用者でも複数の事業主の被保険者期間を通算できます。

例えば下記のような事由で事業主が変わった後、12か月以内に出産すると、期間雇用に育児休業給付金は支給されません。

  • 市町村で運営した事業が民間に委託、移管されたとき
  • 合併や分割、倒産等により事業主が変わったとき
  • 事業主の都合で関係会社等へ再就職したとき

育児休業給付金を受給できないことによる損失はいくらか

たとえば月収15万円の人が子が1歳になるまで育児休業を取得したとすると、育児休業期間中に受給できる育児休業給付金は約90万円です。

タイミングが悪ければ90万円を受給できないことになるので、相当な不利益になります。

なぜ、有期雇用労働者はみなし被保険者期間の通算が適用されないのでしょうか?おそらく、転職を繰り返す、非正規労働者は、雇用保険給付の収支バランスが悪いからだと思われます。

しかし、出産に関してこのような不利益を受けるようであれば、非正規労働者の女性が出産の意欲や機会を失うことになりかねません。一刻も早く制度を改善してほしいものです

有期雇用労働者が育児休業給付金を受給するために、会社の事業主が変わるような予定のあるときは子作りを控えましょう。新たな事業主に代わってから12か月経過後に出産できるように計画して出産することをお勧めします。