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20歳未満60歳以降に厚生年金に加入すると大損。

高卒で就職すると、18歳から厚生年金に加入します。中卒であれば15歳から加入します。そして最近は65歳までの継続雇用が義務化されていますので、65歳まで厚生年金に加入します。

65歳以降もフルタイムで働く場合は70歳まで厚生年金に加入します。

厚生年金は支払った保険料に応じて年金受給金額が決まります。支払った保険料を何年の年金受給で回収できるか調べたところ、20歳以上60歳未満以外で厚生年金に加入した期間は回収年数が長いことがわかりました。

つまり、20歳未満、60歳以上の期間に厚生年金に加入すると損です。

なせそのようなことが起きるのか?この記事では、その仕組みを詳しく説明します。

  1. 日本の年金制度
  2. 厚生年金保険料を年金受給で回収する期間
  3. 厚生年金の受給額計算例
  4. まとめ

日本の年金制度

日本の公的年金制度は「国民年金」「厚生年金」があります。

国民年金

国民年金は強制加入ですが、自営業やフリーターなど厚生年金に加入していない人は毎月保険料を納付しなければなりません。

保険料を滞納している人は年々増加しており、40%程度の人が滞納しているといわれています。平成29年度の国民年金の保険料は毎月16,490円(年間197,880円)なので収入の少ない人は支払が大変です。

会社員などの厚生年金の被保険者については、その期間は国民年金の保険料を納付したことになります。

国民年金は20歳から60歳まで40年間保険料を納付した人が満額(780,900円/年×改定率)を受給できます。つまり1か月分の保険料に対する国民年金の受給額は1,625円となります。

一般的に国民年金の受給額は少ないため、国民年金のみ受給しても生活できないといわれています。国民年金の受給額は満額受給したとしても毎月65,000円なので、家賃や光熱費を支払うと都市部での生活は無理です。地域によっては生活保護を受給できます。

国民年金保険料は毎月16,490円程度を40年間納付しますが、納付額に対する支給額はどうなっているのでしょうか?

実は支払った保険料を国民年金給付として回収する期間は約8年です。日本の平均寿命が80歳ということを考えると、73歳で年金を回収できるので、国民年金保険料を滞納すると損です。

これは年金財源の半分は税金から支払われているからです。そう考えると、いまの社会保障制度の維持は無理があると思われます。

厚生年金

会社に入社すると厚生年金の被保険者となります。厚生年金に加入するとその人は国民年金第2号被保険者になります。厚生年金の保険料率は平成29年度は18.182/1000です。厚生年金の保険料は給料から天引きされます。

例えば月収20万円の場合、厚生年金保険料は1か月あたり18,184円です。

厚生年金の受給額は少々複雑ですが下の式を用います。

平均標準報酬額×5.481/1000×被保険者期間の月数

上記計算式の「平均標準報酬額」はおおよそ、その人の年収の1/12(月収)と考えてください。

例えば年収240万円の人は平均標準報酬額が20万円となります。

1か月分の被保険者期間に対する厚生年金の受給額(1か月分)は1,045円となります。

厚生年金保険料を年金受給で回収する期間

厚生年金保険に加入する期間は長い人で15歳から70歳までの55年間です。

厚生年金に加入している期間に負担した保険料は、実際に年金を受け取る際に何年で回収できるでしょうか?

現在の社会保障制度では、社会保険に加入した期間が20歳以上か20歳未満か、60歳以上か60歳未満かによって、支払い済み保険料を回収できる年数が違います

下の表は保険料納付額に対する年金の受給額をまとめたものです。

a b c d e f
平均標準報酬額(月収) 厚生年金保険料(1か月分) 国民年金支給額(1か月分) 厚生年金支給額(1か月分) 回収年数b/(c+d) 回収年数b/d
100000 9091 1623 522 4.24 17.42
120000 10909 1623 627 4.85 17.40
140000 12727 1623 731 5.41 17.41
160000 14546 1623 836 5.92 17.40
180000 16364 1623 940 6.38 17.41
200000 18182 1623 1045 6.81 17.40
240000 21818 1623 1254 7.58 17.40
280000 25455 1623 1463 8.25 17.40
320000 29091 1623 1671 8.83 17.41
360000 32728 1623 1880 9.34 17.41
400000 36364 1623 2089 9.80 17.41
450000 40910 1623 2351 10.29 17.40
500000 45455 1623 2612 10.73 17.40
550000 50001 1623 2873 11.12 17.40
600000 54546 1623 3134 11.47 17.40
650000 59092 1623 3395 11.78 17.41
700000 63637 1623 3656 12.05 17.41
750000 68183 1623 3918 12.31 17.40

20歳以上60歳未満の被保険者期間は、納付した保険料を年金で回収するのに4年~11年かかります。一方、20歳未満60歳以降の被保険者期間は、納付した保険料を年金で回収するのに約17年かかります。

たとえば、15歳から70歳まで社会保険に加入した場合、15歳~20歳の期間と、60歳~70歳の期間に支払った保険料のもとを取るには、17年間年金を受給しなければならないのです。

17年間年金を受給するためには、82歳まで生きなければなりません。

なぜ20歳未満60歳以降に厚生年金に加入すると、納付した保険料を年金で回収するのに17年もかかるのか

20歳未満、60歳以上の厚生年金被保険者期間は、原則として国民年金保険料納付済みの期間にならないのです。つまり厚生年金の保険料を納付しても、その納付した期間は国民年金の基礎にはならないのです。

厚生年金の受給額計算例

例えば平均標準報酬20万円(年収約240万円)の人は、

1か月厚生年金保険料(b):18,182円

1か月の厚生年金保険料に対する国民年金支給額(c):1,623円

1か月の厚生年金保険料に対する厚生年金支給額(d):1,045円

厚生年金の被保険者期間が20歳以上60歳未満のとき

納付した保険料を国民年金と厚生年金で回収できる年数(e):6.81年

厚生年金の被保険者期間が20歳未満60歳以上のとき

納付した保険料を厚生年金で回収できる年数(f):17.4年

厚生年金に加入した期間が20歳未満60歳以上のときは、20歳以上60歳未満の期間にと比較して、納付した保険料を回収するのに2倍以上の期間がかかります。

つまり、支払った保険料に対して年金受給額の割合が少ないのです。

20歳以上、60歳未満の期間は低所得者ほど回収できる年数が少なくなります。

自営業などの国民年金第1号被保険者は収入にかかわらず保険料が一定なのに対し、厚生年金の被保険者は低所得者がある程度優遇される仕組みになっています。

65歳以降は在職老齢年金の制度により、年金が停止されることもあるので、所得の多い人は不利です。

まとめ

60歳以降にフルタイムで働くときは、厚生年金の保険料に対する受給額が少なくなるので注意しましょう。

20歳以上60歳未満の期間は低所得者ほど優遇される仕組みになっているので、手取りが少なくなっても、社会保険に加入したほうが有利です。

今後の政策として定年の引き上げなど、高齢者の雇用促進を進めるのであれば、制度改正が必要かと思われます。現状の制度では高齢者を支える現役世代が働く意欲を失っていくことになりかねません。

社会保障制度は、所得の多い人から所得の少ない人への分配機能を持っています。社会保障制度の維持の観点から考えると、所得の多い人は定められた保険料をきちんと支払うことが重要です。