2人に1人はガンになる!生命保険、ガン保険の選び方

※本記事は2016年4月公開時の内容を、2026年6月時点の最新情報(生涯がん罹患リスク最新統計、2022年傷病手当金通算化、免疫療法等のがん治療進歩、自由診療補償型ガン保険、こくみん共済coopへの名称変更、出口治明氏の最新肩書等)に合わせて加筆修正しました。
生涯に生命保険料をいくら支払いますか?
20歳から終身タイプの生命保険や医療保険に加入し、保険料を毎月1万円支払うとすると、80歳までの60年間支払ったとすると720万円になります。家族で加入すればその人数分の費用がかかり、家を買えるくらいの出費になります。
したがって生命保険は安易に加入せず、よくよく検討したうえで加入しなければ大損です。
適正な生命保険は被保険者の年齢や年収、家族構成によって異なりますが、あまり保障を手厚くすると保険料が高くなってしまい、生活に支障が出てしまいます。
生命保険料を節約するにはどうすればいいでしょうか?
生命保険を検討するときのポイント
社会保障制度を考える
ガンなどの病気療養のため、長期間休業することが考えられます。病気で休業したときは、最大1年6か月間、傷病手当金を受給できます。傷病手当金の受給額は受給者の収入のおおむね2/3です。
2022年1月から、傷病手当金は「通算1年6か月」へと改正されました。それまでは「支給開始から1年6か月」というカウントだったため、途中で復職→再度休業した場合、復職期間も期間に含まれてしまっていました。改正後は復職期間を除いた実際の休業期間で通算1年6か月となるため、がん治療のように治療と復職を繰り返すケースで給付期間が実質延長されました。
また、治療代は高額療養費の自己負担限度額が適用されます。70歳未満の標準的な所得世帯(年収約370~770万円)であれば、月の自己負担上限は約8万円~9万円、年間で約60万円が目安です。低所得者であれば年間30万円程度まで抑えられます。なお、2017年8月・2018年8月の改定で高齢者の自己負担限度額が引き上げられた点には注意が必要です。
生活は苦しくなりますが、治療費以外にお金を使うことがありませんので、高額な保険金をもらわなくてもなんとか生活できるのではないでしょうか
病気や事故で死亡したときに、遺族に18歳未満の子供がいれば、遺族基礎年金が支給されますし、場合によっては遺族厚生年金も受給できます。母子家庭で収入が少なければ児童扶養手当を受給できます。
社会保障制度を利用して最低限の生活ができるような仕組みになっているので、生前と同じ生活を望まなければ、高額な生命保険をかける必要はないのです。
がん保険の入院給付金はいらない
日本人の2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで死亡しています
国立がん研究センターの最新統計(2024年公表データ)によると、生涯でがんに罹患するリスクは男性で65.5%(およそ3人に2人)、女性で51.2%(およそ2人に1人)とされています。また、生涯でがんにより死亡するリスクは男性26.2%、女性17.7%です。「2人に1人ががんにかかる」という表現は、依然として現実的な数字といえます。
私の父はガンで死亡、母はガン治療経験あり。姉はガン治療中です。一般的に生活習慣を変えればガンを予防できるとされていますが、ガンの発生確率からすると、いくら注意してもガンの発生を予防することは困難なようです。
また、必ずしも生活習慣が悪いからと言ってガンにかかるとは限りません。毎日たばこを吸っている人が長生きしたり、有機栽培の野菜中心の生活をしている人でもガンにかかることもよくあります。遺伝的なものに依存しているとも言われます。
ガン保険の保障内容は、診断一時金、手術給付金、入院給付金、通院給付金、先進医療給付金、抗がん剤、放射線治療給付金、診断後の保険料免除など、多岐にわたります。すべての保障をつけると、保険料が高額になってしまいます。
がんの治療法は年々進化しており、入院期間が極めて短くなっています。例えば、女性に多い乳がんの入院期間は10日程度で、その後は通院だけです。私の父が胆管がんで死亡前に入院した期間は、手術前後の1か月間と、死亡前の1か月間でした。
2017年以降のがん治療の進化
2017年以降、がん治療は大きく進化しました。特に注目すべき進歩は以下の通りです。
- 免疫チェックポイント阻害薬(オプジーボ、キイトルーダ等):従来の抗がん剤と異なる作用機序で、肺がん・腎がん・悪性黒色腫などに効果を発揮。月額数十万円~数百万円の高額医療だが、保険適用が徐々に拡大
- CAR-T療法(カーティー細胞療法):患者自身のT細胞を遺伝子改変して投与する治療。一部の白血病・リンパ腫で保険適用。1回約3,300万円の超高額治療だが高額療養費の対象
- がんゲノム医療:がん遺伝子検査により個別最適な治療薬を選択。2019年から保険適用
- 陽子線・重粒子線治療:先進医療→順次保険適用へ。前立腺がんや小児がんでは保険適用済み
これらの治療法の登場により、がん治療の外来化・通院治療化がさらに進みました。一方で、保険適用外の自由診療を選ぶケースも増えており、ガン保険の役割が変化しています。
ガンに対する入院給付金の特約はつけずに、通常の病気やケガの入院給付金を日額5,000円程度つけておけば十分ではないかと考えます。ガンにかかりやすいことがわかっているという人は、診断一時金と通院給付のみの保障を契約しましょう。保障範囲を限定することにより生命保険料を安く抑えることができます。
2026年のトレンド:自由診療補償型ガン保険
従来の入院・手術中心のガン保険から、2020年代以降は「自由診療対応型」「治療実費保障型」のガン保険が増えています。これは、オプジーボ等の高額な自由診療や、保険適用外の最新治療も含めて実費を補償するタイプです。
代表的な商品として、アフラックの「生きるためのがん保険Days」、メットライフ生命の「ガン保険ガードエックス」、楽天生命の「スーパーがん保険」などが自由診療対応の選択肢を持っています。
「がんになっても最新治療を諦めたくない」と考える方は、診断一時金+自由診療補償の組み合わせを検討する価値があります。ただし保険料は通常型より高めになるため、家計とのバランスを考えましょう。
支払方法の変更
生命保険料を毎月支払うと分割手数料がかかります。支払い方法を年払いに変更することにより、毎年の保険料を5%ほど安くすることができます。
年払いへ変更できるかどうかは、契約時にはあまり聞かれませんし、パンフレットにも記載がありません。必ず保険会社に確認するようにしましょう。
終身タイプのメリット
生命保険は年齢が高くなるほど病気や死亡のリスクが高くなるため、契約時の年齢が高いほど保険料が高くなります。例えば、30歳時点と、60歳時点に同じ保障内容で生命保険を契約した場合では、保険料が5倍程度以上違います。
そして、同一期間について、長期契約の場合と、短期契約の更新を繰り返した場合を比較すると、トータルの保険料は安くなります。例えば、同じ保障内容のガン保険を30歳から75歳まで10年満期で更新を繰り返した場合と、30年満期の長期契約にした場合と、では、長期契約にしたほうが20%安くなります。
そのため、究極の長期契約である終身タイプが一番お得かというとそうではありません。なぜかというと、契約内容の見直しができないからです。終身タイプを契約してしまうと、将来的に保険料が高くなる分を先払いしていることから、途中解約すると大きく損をします。したがって、終身タイプを契約するときは長期的な見通しを立てることができる商品を選択する必要があります。
終身タイプの最大のメリットは、保険料の値上げの影響を受けないことです。このまま少子高齢化が進むと、医療保険の値上げが進み、高齢者の保険料がますます高額になることが考えられます。
総務省統計局によると、2024年9月時点の高齢化率(全人口に占める65歳以上の割合)は29.3%です。2025年には29.8%、2030年には31.2%、2070年には38.7%に達すると国立社会保障・人口問題研究所は予測しています。つまり2030年には3人に1人弱、2070年には実に5人に2人が65歳以上になるのです。
終身タイプは今後どんどん値上げされることが考えられるため、あまり負担のかからない医療保険に早めに加入することをお勧めします。
FPによる無料相談を利用
周囲に相談できる知り合いなどがいない場合は複数の保険会社の商品を取り扱う代理店の無料相談を利用しましょう。2026年現在は以下のようなサービスが利用できます。
- 保険マンモス:FP訪問型の老舗。自宅・カフェ等で対面相談
- ほけんの窓口:全国700店舗以上の対面型ショップ
- 保険見直し本舗:全国350店舗以上+オンライン相談
- みんなの生命保険アドバイザー:FP訪問型・オンライン型
- マネードクター:FP訪問型・オンライン相談対応
私がガン保険を検討するとき、保険マンモスの無料相談をお願いしました。インターネットで名前や住所、相談したい内容を入力して申し込むと、ライフプランの専門家である、ファイナンシャルプランナー(FP)を派遣してもらえます。
2020年のコロナ禍以降、オンライン(Zoom等)でのFP相談が一般化しました。対面が難しい方や、地方在住で店舗が少ない方でも、自宅から専門家のアドバイスを受けられるようになっています。
生命保険加入には病歴の告知の範囲などが細かく設定されているため、健康診断の結果などを示して相談しておくほうが無難です。
生命保険は長期的にみると、数百万円の買い物になります。一人で決めずに専門家に相談し、納得したうえで決断することも大切です。
生命共済を利用する
一般的に「民間の保険は掛け金が高く、保障が手厚い」一方、「共済は掛け金が安く、保障が弱い」と言われています。保障の内容をある程度妥協できる場合は共済を利用しましょう。
主な生命共済の選択肢は、こくみん共済coop(旧全労済)の「総合保障タイプ」、都道府県民共済の「生命共済」、コープ共済の「たすけあい」などです。いずれも月1,000円~3,000円程度の少額掛金で、入院・死亡・がん診断などの基本保障が受けられます。
共済掛け金が安い理由としては、そもそも共済は、営利目的ではなく、会員向けに行う福利厚生事業という位置づけにいるためです。民間の保険会社と比較すると運営費や広告費用のコストが安く、余剰金が出た場合は、割戻金が出るなど、結果として保険料が安くなります。
生命保険業界で価格破壊を起こしたライフネット生命の元会長で、現在は立命館アジア太平洋大学(APU)元学長・著述家として活動する出口治明氏の講演会に参加したことがあります(出口氏は2013年にライフネット生命会長を退任、2018年からAPU学長を務め、2021年の脳出血を経て2023年12月に任期満了で退任)。ライフネット生命は生命保険料のうちの運営経費にあたる金額を開示しています。
ライフネット生命はインターネットによる販売に特化し、人件費や店舗運営費、広告宣伝費などのコストを削減することにより、創業当時は生命保険料を大手生命保険会社の1/3程度に抑えていました。逆に言うと、一般的な保険会社の対面販売では、運営経費がかかり、その分保険料が高くなるのです。
なお、2026年現在はライフネット生命以外にもSBI生命、楽天生命、アクサダイレクト生命などのネット販売特化型保険会社が増え、ネット系保険全体の保険料水準が下がっています。一方で、対面販売の大手生命保険会社もネット契約に対応するケースが増え、創業期ほどの価格差はなくなっていますが、それでも対面型と比べると依然として割安です。
まとめ
2026年現在も「2人に1人ががんにかかる」リスクは変わらず、生命保険・ガン保険の必要性はあります。しかし、生涯で支払う保険料は数百万円規模になるため、過剰な保障に加入しないことが家計の節約につながります。
- 社会保障制度(傷病手当金・高額療養費)を理解し、それでも足りない部分に絞って保険を検討する
- ガン保険は入院給付金よりも診断一時金・通院給付金を重視する(通院治療化の時代に対応)
- 高額な自由診療を視野に入れるなら自由診療補償型ガン保険も選択肢
- 支払方法は年払いで5%程度節約
- 終身タイプは値上げリスクを回避する一方、途中解約に注意
- FP無料相談(対面・オンライン)を活用して複数社を比較
- 掛金重視ならこくみん共済coop・県民共済・コープ共済などの共済を選択
- ネット販売型保険(ライフネット生命・SBI生命・楽天生命等)は対面型より割安
家族構成や年収によって必要な保障内容は大きく異なります。最低でも社会保障制度と複数社の見積もりを比較したうえで、納得できる契約をしましょう。